私は、英語力とはどれだけ「たくさんの英文が頭の中に入っているか」ということに比例すると信じているのですが、教壇で中高生に英語を教えていて思うことがあります。それは、生徒たちの中には、まったく想像力を働かせないで英文を覚えようとしてしまう人がかなりいるということです。
想像力で肉付けする
僕ら英語教師は生徒たちにたくさんの英語を覚えるように仕向けます。しかし、時に教えている側も重要なことを見落としている場合があります。ただ単に、「これらの英文を覚えろ!」と言ってもなかなかその英語は使えるようになりません。英文を教える際に、「想像力を働かせながら英文を覚えろ」と言わなければなりません。
「覚えるべき英文を想像力で肉付けする」
とでも言いましょうか。簡単なことですが、やっていない人が多いような気がします。
次の英文を見てください。
You may stay up late tonight.
生徒がこの英文を理解しているかどうか、確認する手段はいくつかありますが、みなさんだったらどのように質問するでしょうか。
教師:はい、じゃあA君、日本語にしてみなさい。 A君:ええと。「あなたは今夜遅くまで起きていてもよい」です。 教師:正解。
よく聞く生徒と教師のやりとりですが、こんな感じで終わらせてしまっていいのだろうか?というのが私が英語教師になったばかりの頃の疑問でした。
誰が、誰に対して、どんな状況で
私なら、 明らかに状況がわかる場面の英語でない限り、次のように指示を出します。
教師:はい、じゃあA君、誰が言った英語だか考えてみてください。 A君:ええと、母親ですか。 教師:誰に対して、どういう状況で言った英語だかわかりますか? A君:自分の子供に、夜更かししてもいいよって。 教師:そうですね。ちなみにmayは「〜してもよい」っていう「許可」を与える表現でしたね。
だいぶ肉付けできましたね。つまり、You may stay up late tonight.の意味は、
「親が」 「自分の子供に対して」 「夜更かしの許可を与えている状況」
だということがわかれば、日本語にしてみると「あなたは今夜遅くまで起きていてよい」ではなく、
「今夜は夜更かししていいわよ」
といった感じになることがわかるはずです。
このように、①誰の発話なのか、②誰に対しての発話なのか、③どんな状況での発話なのか、想像力を働かせながら覚えようとすれば、その英文の周辺を形作っている全体像まるごと覚えることができます。こうして覚えた英文というのはなかなか忘れません。適材適所の場面で英語を使えるようになるためには、場面ごとに英語を覚えていく必要があります。ぜひ、想像力を駆使して英語学習に臨んでみてください。
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