私が在学していた時代の早稲田大学教育学部は、「授業を英語で行う」ことにこだわっていた先生が何人かいらっしゃいました。前述の松坂ヒロシ先生もそのうちの一人でしたが、キャンパス内なら教室の外でもずっと英語を話されていた先生がいらっしゃいました。
石原明先生
大学3年の頃、「英語理解」という授業だったと思いますが、LL教室(Language Laboratory Classroomと呼ばれる、音声教材を自分の卓で自由に聞いたりできる教室)の授業がありました。その授業を担当されていたのが石原明先生でした。石原先生は授業はもちろん、キャンパス内では学生とは英語でしか話さない方でした。ですので、学生は先生と話す時は、常に緊張していたように思います。
先生の英語は往年のアメリカのbroadcastersを彷彿させるようなアメリカ発音でした。40歳になるまで、海外渡航経験がなかったようで、それまでずっと純粋に国産英語を追究してきたようです。なんでも、学生時代より多くの英語弁論大会に出場し、優勝を総なめにしていたとか。大学卒業後、中学校の英語教師になられたあとも、「全国中学高校教員による英語弁論大会」では3連覇し、大会側から「もう参加しないでもらいたい」と言われたほどの英語の達人だったそうです。
先生は学生の話す英語にとても厳しく、こちらが極端な文法の間違いをすると
NEW GRAMMAR!!! 「新しい文法だな、そりゃ!」
また、あまりにも学生の間違いがひどいと、
Go back to junior high school! 「中学生にもどりたまえ!」
と皮肉をたっぷり効かせて声高らかに叫ばれていたのがとても印象的で覚えています。
先生の専門は英語音声学であったこともあり、学生の発音も細かく指導してくださいました。イギリス英語の発音にも精通しており、普段はアメリカ発音で話される英語も、臨機応変にイギリス発音に変化させたりしながら、ユーモラスに授業を展開していました。
石原先生は英語演説の研究もされていました。マーチン・ルーサー・キング、ジョン・F・ケネディ、マルコム・X、フランクリン・ルーズベルトなど、数多くの有名演説を暗唱していました。早稲田大学の最終講義ではそのいくつかをみごとに披露し、当時の偉人たちの思いをリアルに再現していました。口語英語の研究者として、最後まで一貫した立場を貫いていたことを示してくださいました。
私の朗読活動の原点は石原明先生にあると言っても過言ではありません。石原先生のように「どうやって英語を使って人にものを伝えるのか」にこだわった立場を貫くことは、英語教師としてはとても価値のあることだと思っています。
石原明先生、懐かしいです。私の世代だと、東後勝明先生、松坂ヒロシ先生、田辺洋二先生、上田稔先生、小島義郎先生。充実してました。今、基礎英語2の講師の阿野幸一先生、4月から引き継ぐ西垣知佳子先生は同期です。
天野光敏様
コメントありがとうございます。小島先生、上田先生以外は教わる機会がありました。非常に懐かしいですよね〜。阿野先生はドクターをやられていた時にお見かけしたことがあります。
石原明先生懐かしいですね。私は文学部で、英語科教育法の講義でお世話になりました。もちろん全て英語での講義で初めはついて行くのが大変でした。後日偶然に石原先生が勤務されていた中学校に赴任したのも何かのご縁ですね。
阿部一也さま
コメントありがとうございます。数年前にお亡くなりになられてしまったのが大変残念でしたが,学生時代に大きな刺激を受けました。いろいろなご縁があったのですね。お話を共有していただき感謝いたします。