yamadewさん(@rich_coastさん)がTwitter上で次のようなパッセージを「高校生には難しい文章」としてあげてらっしゃいました。
難しい単語は何一つないけど、高校生には難しいかなぁ。構文的にも、内容的にも。 ※大学入試問題です。 pic.twitter.com/sTnaKZYWVD
— yamadew (@rich_coast) 2015, 11月 1
どれどれ、という感じで読んでみたところ、「??」よくわからなくなってしまいました。「もしや、これは悪文なのでは?!」と思い、yamadewさんにどのような意味のパッセージか聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。
@eigotalent ざっくりですが申し上げますと、「年をとっても人間は変わらないという通念があるが、年齢を経るにつれて人間はみんな柔軟になっていくものだ。」という主旨の文章です… — yamadew (@rich_coast) 2015, 11月 1
ちょっと考えてもう一度読みなおしたところ、「あ、そうか!」とようやく意味がわかりました。そもそもパッセージとは、「一貫したメッセージを伝えるために、相互に意味の関連した文が集まったもの」なわけですから(『【教歴10年目の英語教師が語る】英語学習における暗記で最も大切なこと』参照のこと)、そこのところをしっかり押さえておけば大筋の流れはわかるはずなんです。
今回、私がひっかかってしまったのは、この部分です。
Common wisdom says that as people age, they do not change except to become more like themselves. But I’ve never known anyone who has lived past the age of seventy-five— and I’ve know a lot of them — who did not become more kind, more open, more sentimental in the best sense of the word. Maybe age means becoming more flexible; maybe only flexible people survive.
社会通念上、人は年齢を重ねるほど、よりその人らしくなることを除いて他に変わることはない、とされる。しかし、私は生まれてこのかた、75歳以上生きた方の中で、昔より優しくなく、社交的にもならずに、また最も適切な意味の言葉を使うなら、感傷的になっていないような人を誰も知らない(もちろん75歳以上の生きた方は多く知っているが)。おそらく、年齢というのはより柔軟になることを意味するのだろう。おそらく、より柔軟な人だけが生きながらえるのだ。
出典:原点は不明(京都府立大学2013年の英語の入試問題にあったそうです)
この赤でハイライトした部分、「挿入句」なんですね。挿入句っていうのは、いい忘れていたことを追加情報的に加えているものなんです。この「追加情報的」というのがやっかいで、「後で言ってくれればいいのに、あわてて文章の中にねじ込んだ」という感じなのです。だから、文字だけで見ると非常にわかりづらい。その前のところで、”I have never known(知らないよ)”とか言っておきながら、”and I’ve known a lot of them(実はたくさん知ってるんだけどね)”みたいに言うもんですから、よけいわかりづらい。この赤の部分は別になくていいんですね。
いろいろ考えてみたら、こういう瑣末情報の挿入句って、朗読すれば誤解を防ぐように伝えることができるんですね。と思って、自分ならどう朗読するだろうとか考え、実際に読んでみました(録音時ちょっとお酒が入っていたので、こんなものでお許しください)。
どうでしょう。少しは意味がわかりやすく伝わりましたでしょうか。私が上の朗読で心がけたのは、赤でハイライトした部分を、「本筋の内容に影響しない一種の独り言のように読む」ということでした。話し言葉ではこういう独り言は、日常的に登場します。英語の母語話者でこういう挿入句を全く使わない人はまずいないでしょう。
こうしたことを考えると、やはり言語学習って「話し言葉が先で、書き言葉が後であるべき」なのだなぁとつくづく感じます。話し言葉を駆使することができなければ、英文をきちんと読むことは難しいんですね。
ですから、私が上のパッセージを生徒に教えるとすれば、構造的な説明をしてあげた後に、話し言葉の大切さを説きます。
英語はたくさん話さないと身に付かない
かく言う私も、生徒にたくさん英語を使わせる活動は満足いくほどできていないのですが… 日々研究あるのみです。
それにしても、朗読ってすごいと思いませんか。朗読しましょう。
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