先日、顧問をしている英語部で東洋英和学院主催のレシテーションコンテストに参加する生徒の指導をしました。
題材は、Anne of Green Gables(『赤毛のアン』)の以下の抜粋でした。
‘…When we got on the train I felt as if everybody must be looking at me and pitying me. But I just went to work and imagined that I had on the most beautiful pale blue silk dress – because when you are imagining you might as well imagine something worthwhile – and a big hat all flowers and nodding plumes, and a gold watch, and kid gloves and boots. I felt cheered up right away and I enjoyed my trip to the Island with all my might.’
Montgomery, L. M. (1994). Anne of Green Gables. Ware, Hertfordshire, UK: Wordsworth Editions Limited, p. 21. Original work published 1908.
指導といっても、複数の生徒がいるので、輪になって座った状態でワンセンテンスごとひとりずつ朗読していくといったものです。朗読をしている過程で、全体のストーリーの中で一文一文がどういった意味を持つのか議論し解釈しました。はずかしながら、私自身この作品は読んだことはありませんでした。ちょっとだけ調べてこのパッセージの解釈を生徒と話し合ってみました。
朗読をする際にまず最初に考えるのは、読みやすい長さに切ること(chunking)です。例えば、次のような意味のかたまりに切ることが考えられます。
When we got on the train/ I felt as if everybody must be looking at me and pitying me.// But I just went to work and imagined /that I had on the most beautiful pale blue silk dress/– because when you are imagining/ you might as well imagine something worthwhile/ – and a big hat all flowers and nodding plumes,/ and a gold watch, and kid gloves and boots.// I felt cheered up right away / and I enjoyed my trip to the Island / with all my might.//
列車に乗ると、皆が私のことを見て哀れんでいるように感じられた。しかし私はただただ空想に勤しみ、とてもきれいなシルクの淡いブルーのドレスを着ているのだと思うことにした(そもそも空想をしている時というのは、価値のあるものを想像するものなのだが)。また、花や風になびく羽の付いた大きな帽子、それに金の腕時計やキッド革のグローブにブーツを身につけていることを想像した。すると、すぐに元気になり、島までの旅をおもいきり楽しむことができた。
I felt~ですが、目的語に当たるas if節が長いので、feltの後で切って若干のポーズを取ってもかまいません。as ifからピリオドまでは一息で読みます。
次のimagined以下の目的語に当たるthat節も長いので、imaginedの後で切ることがほとんどかと思います。
have on~ですが、本来”have ~ on”で「〜を身につける」という意味になり、身につけるものをhaveとonで挟むのですが、身につけるものが”the most beautiful pale blue silk dress”といった具合に長いので、”have on the most beautiful pale blue silk dress”となります。ここで使われているonは前置詞でなく副詞ですので、強くしっかり発音します。
このthe most beautiful pale blue silk dressですが、読み方を気をつけなければいけません。それぞれpàle blúe、 sílk drèssがひとつのかたまりです。形容詞句や名詞句が発音の仕方をわかっていないと、歯切れの悪い印象が残ってしまいます。
次のダッシュで挟まれた部分は、「挿入された説明」ですので、全体の文構造を壊さないように配慮して読みます(これがなかなか難しいのです!)。areはイタリック体になっていることから強調して読むことがわかりますが、「そもそも想像するっていうことは…」といった意味になります。imagining以下のyou might as well…を目的語の節と捉えてはいけません。意味を考えればわかることですが、imaginingの後ろで十分なポーズを置きます。might as well「〜するのももっともだ」は熟語なので、あたかも一つの助動詞”mightaswell”といった感じで発音します。
ふたつめのダッシュ以降は前述のhad onの目的語の続きです。つまり、
…I had on
① the most beautiful pale blue silk dress
② a big hat all flowers and nodding plumes
③ a gold watch
④ kid gloves and boots
といった構造です。
②のa big hat all flowers and nodding plumesですが、初めて読んだ時は構造がどうしてもつかめなくて苦しみました。文脈を考えると、a big hat with all flowers and nodding plumesとwithが入るはずだ、とは思っていたのですが、前置詞もはいっていないので気持ち悪さが残りました。いいかげん気持ち悪いので、同僚のネイティブに聞いたところ、「昔の文学だからねぇ。僕らは文脈でwithがあるもんだと思って理解するんだよ」との答えが帰ってきました。もし、もっと明解な説明をご存知の方がいらしたらぜひ教えてください。
I felt cheered upの後で切ってもいいのですが、なにせ”right away”は「すぐさま」という意味ですので、一気にここまで読んでしまいます。最後は、余韻を残すために、「思いっきり、全身全霊で」といった意味のwith all my mightの前で切り、特にallを強調して読むとかなりの印象が残る気がします。
生徒にモデル音源を作ってくれと頼まれたので、あわてて作成しました。作者がカナダ人、舞台もカナダということもあって、どういった発音で読もうか迷ったあげく、こんな感じになりました。
女性限定のコンテストということもあり、男くさいモデルなのでBGM(Gettysburg Addressと同じやつ)を入れました(笑)。コンテストに参加したみんな、いい結果だといいなぁと思うばかりです。
それでは、今回はここまで!
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