英語達人列伝① 松坂ヒロシ先生


1999年、私は早稲田大学教育学部英語英文学科に入学しました。この学科では、当時、英語音声学という英語の発音を研究する分野が盛んで、英語音声学を教えている教授陣には多くの英語の達人がいらっしゃいました。まずは私が教わることのできた達人の先生方のエピソードをご紹介します。

 

 

松坂ヒロシ先生


松坂ヒロシ先生は、私が早稲田大学に入学した当初、英文法の授業を担当されていた先生です。専門は英語音声学で、とてもきれいなイギリス英語を話されます。この授業では、英語で書かれた文法書(Communicative Grammar of English by Svartvik and Leech)がテキストとして使われ、授業はすべて英語で行われていました。当時の私はたいした英語力もなかったので、とにかく授業についていくのが必死だったのを覚えています。

それから、大学3年で松坂先生のゼミに入れていただきました。ゼミでは、先生による講義はもちろん、学生による討論もすべて英語で行われ、非常に活気のあるゼミでした。このころから徐々に松坂先生のすごさがわかるようになりました。先生の英語は美しいイギリス英語であることも、この頃からわかるようになりました。先生は学生時代にアメリカ発音の英語を話されていたそうなのですが、後にイギリスに1年留学したのをきっかけにご自分の話す英語の発音をすべてイギリス発音に変えられたそうです。

NHKの英会話の講座も何度か担当されてていたこともこの頃に知りました。私が在学当時も『英語リスニング入門』というラジオ講座を数年間担当されていました。

数年前、たまたま職場の映像教材保管庫を調べていた折、先生が30代前半の頃にNHKの番組で英語の対談に出演された時の映像を発見しました。先生の英語はきれいなアメリカ発音で、アンカーマンの質問にも流暢に堂々と答えていらっしゃいました。

 

どうしてこんなに英語が話せるのだろう?

 

そう思って、ご本人に聞いたことがあります。先生は、学生時代にアメリカへ1年間留学し、大学教員になられてからは在外研究で1年間イギリスに行かれた経験があるのですが、ご本人いわく、ご自身の英語力が最も伸びたと思われるのは、日本での学生時代とのことでした。

先生は学生時代に英語部(ESA)に所属されていたそうなのですが、当時の学生たちで「活動中は英語しか話してはいけない」という厳しいルールを作って実践されていたそうです。

英語を習得するためにこのように自分を追い込む環境を作るのは、日本人同士のコミュニティではなかなかできるものではありません。松坂先生の英語習得へのこだわりには本当に頭が下がるものがあります。先生の著書『英語音声学入門』を読むと、一般の人にもわかりやすい説明が多く、先生がただの学者ではなく教育実践家であることもよくわかります。当時の先生の目標達成に対する強いこだわりは、なかなか真似できるものではありません。

 

 

 

 

 


takeondo
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都内の私立学校に勤務する英語教師(英語科教諭)。学生時代に英語音声に魅了され、英語教師の道へ。とりわけ関心があるのは、英語のプロソディ(超分節音的側面)とよばれるリズム、イントネーションなど。英語朗読、英語落語にも興味があります。 Certificate of Proficiency in the Phonetics of English 2nd Class 趣味:囲碁(四段)、ランニング(ハーフ1時間30分/フル3時間40分)

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