英語達人列伝③ 東後勝明先生


高校2年の終わりから大学院生だった頃までNHKの「ラジオ英会話」を聞いていました。私が聞いていた当時の担当者は清泉女子大学の大杉正明先生と聖心女子大学のマーシャ・クラッカワー先生でした。学校の英語の勉強よりもNHKのラジオ英会話で学ぶ英語に夢中になっていました。

 

当時の私は、まるでアメリカ人やイギリス人のような発音で英語を話す日本人の講師の先生にたいへん衝撃を受け、「どうしてこんなに英語が話せるのだろう」という疑問がなかなか頭から離れないで仕方がないような状態でした。そしていつの頃からか、「自分もこういう先生みたいになってやる!」という強い思いが芽生え、英語の勉強に躍起になって取り組んでいました。

 

NHKのラジオ講座の歴代講師の中でとても人気のあった先生がいます。残念ながら私は直接放送を聞いていた年代ではないのですが、学生時代に大変お世話になった先生です。

 

 

東後勝明先生

私が早稲田大学教育学部に入学した初日に学科の説明会がありました。説明会の最後だったと思いますが、一人の先生が壇上に出てきて事務的な説明の後に次のような言葉を黒板に書き始めました。

 

Ask, and it shall be given you.

 

それが私と東後勝明先生の出会いでした。新訳聖書「マタイ伝」からの引用で、「求めよ、さらば与えられん」という意味の言葉でした。当時からクリスチャンであった先生は信仰の重要性を説いたこの言葉を引用して、「学問に対して主体的な態度で臨むように」と学生たちに檄を飛ばしました。

 

「なんだかすごい言葉だなぁ」

 

当時の私は漠然とこの言葉に魅了されたことを覚えています。

それから数年が経ち私が大学3年になった時に、東後先生の担当されていた「音声学研究」という授業を取ることになりました。内容は「英語のイントネーション」についての授業でした。いままで英語のイントネーションについて体型的に学んだことがなかったので、授業で習うひとつひとつがとても新鮮で、毎回の授業がとてもたのしみだったのを覚えています。いままで経験的に身についていた英語の音声感覚が面白いほど立体的に浮かび上がってくるようになりました。

 

東後先生の英語は、一度その英語を聞いてしまうとなかなか耳から離れないような「たいへん聞きごこちのいい美しい英語」でした。NHKの「ラジオ英語会話」の番組の講師を約14年間勤められ、とても人気のあった先生であることがわかります。

 

当時の東後先生の放送のいくつかはyoutubeに上げられていますので、ぜひ聞いてみてください。

 

 

東後先生がいかにして英語を身につけたのかは先生のご著書『新版 英語ひとすじの道』を読めばわかります。大学のESS時代にスピーチの練習場所がなかったので、夜中の墓地に行って練習したこと、米軍基地に住んでいる人の電話番号にランダムにかけて、知人を装って英会話の練習をしていたことなど、ちょっと普通では考えれられない努力をして「英語道」を歩まれてきたのだなということがわかります。

 

もう発行されていないのですが、先日アマゾンのサイトをチェックしてみると中古で販売されていました。とても驚いたのですが、なんと値段が一番安いもので26,245円とたいへん高騰しておりました!とても手の出せる価格ではないと思いますので、興味のある方はぜひ図書館等で借りて読んでみてください。

 

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私は大学3年の頃に東後先生の授業に感銘を受け、英語教育の道に進むことを決心しました。そして大学院では先生に教えを仰ぐこともできました。何から何まで面倒を見ていただき、本当にお世話になりました。生涯「師」とあおぐすばらしい方です。


takeondo
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都内の私立学校に勤務する英語教師(英語科教諭)。学生時代に英語音声に魅了され、英語教師の道へ。とりわけ関心があるのは、英語のプロソディ(超分節音的側面)とよばれるリズム、イントネーションなど。英語朗読、英語落語にも興味があります。 Certificate of Proficiency in the Phonetics of English 2nd Class 趣味:囲碁(四段)、ランニング(ハーフ1時間30分/フル3時間40分)

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