今日は言語教育エキスポ2016へ行ってきました。
事前に目を通していた予稿集でも気になっていたのが、「Narration活動とDictoglossを用いた段階的スピーキング活動」by 白倉先生(東京学芸大)&山本先生(創価大)の発表でした。うっかり遅れて会場入りし、後半の半分しか聴講できなかったのですが、予想通りの素晴らしい活動でした。
Narration活動とは
予稿集からそのまま引用すると、
映画やニュースなどの映像(2〜3分程度)を英語で実況中継する活動で、学習者はNarratorとして、映像が流れている間は途切れることなく英語で話続ければならない。(白倉&山本2016)
とあります。
実は私、この活動を昔にやったことがありました。大学生の頃に友人と家で遊んでいて、非常に退屈だったのでテレビを見ていた時のこと。なぜかその時に限って、普通に見るのではおもしろくなかろうということになり音声をミュートにして見ることになりました。「よし、テレビの中で写っている人たちが何をしているのか、英語で実況しよう」ということになりやってみたのでした。
テレビは映像だけで何が起きているのかを理解するのは非常に困難です。この時に友人と私がやったNarration活動のルールは「とにかく英語を話し続けなければいけない」のと「話は勝手に作って膨らませてもよい」という、大変自由な英語の練習方法でした。
考える間もなく場面が進んでいくので、言っていることはめちゃくちゃで、話もとんでもない方向に向かうため、友人と笑いながら楽しいひと時を過ごしたことを覚えています。とにかく認知負荷がすごかった!これはいいスピーキングのトレーニングになるぞ、ということでその後一人でやってみたりしていましたが、一人でやるとこれまたつまらない。誰か聞いてくれる人がいないとあまりやりがいのない活動(まあ、そもそもスピーキングの練習全般に言えることかもしれませんが…)だと感じたので、やらなくなってしまいました。
今回の発表では、Narration活動だけでは難しすぎるので、Dictoglossという活動を組み合わせて行うことで、効果的なスピーキング指導ができるのではないか、というものでした。
Dictoglossとは
この活動はDictationと似ているのですが、ペアまたはグループになって、読み上げられた英文テキスト(短くて内容の濃いもの)をメンバーと話し合いながら復元するという作業です。実際に読み上げた英文テキストをそっくりそのまま復元する必要はなく、文法的に問題がなくメッセージの伝達において重要な要素がきちんと入っていればよしするようです。教員が通常のスピードで2回ほど読むことが多いようですが、実際に参加者でやってみたらかなり面白かったです。
このDictoglossの活動をNarration活動の間に挟むというのが、この発表が提案していることでした。つまり、
Narration活動(1回目)⇨ Dictogloss ⇨ Narration活動(2回目)
といった流れで行うことで、1回目にほとんどできなかったナレーションが2回目のナレーション時にはかなりできるようになっているというものです。1回目のNarration活動の際には語句の確認や練習などをやり、2回目はNarrationだけを行うようです。さらに、このDictoglossの前にはウォームアップとしてシンクロ・リーディングやシャドーイングなどの音読練習がはいります。
私はもちろんのこと、参加していた人の多くが手応えを感じていたようで、だいぶ多くの人がナレーションができるようになっていました。
まとめ
スピーキングの練習をさせる授業としては、かなり良いと思いました。あと思ったのは、Narration活動は個人で練習しようとすると「甘くなりがち」だということ。「聞き手がいる」ことで緊張感も生まれ、たとえ変な形の英語を発してしまったとしてもフィードバックもできるし、学習活動としては盛りだくさんの活動だなと。授業ではやく試してみたくなりました。普通に英語を勉強している人でもできる活動なので、よかったらやってみてはいかがでしょう。
今回はここまで。では〜(^^)
Leave a Reply