英字新聞でTOEICを克服する方法②


前の記事で毎日30分英字新聞を読むことについて話しました。今回はこの30分を具体的にどのように使えばいいのかお話しします。私が毎日30分英字新聞を読み続けていた頃、意識してしていたことは次のようなことです。

 

  1. 一面を読む
  2. 社説を読む 

 

1.一面を読む


新聞で一番ホットな話題が扱われるのが一面です。一面には、日々メディアで話題になっている特定のニュースが頻繁に取り上げられます。

 

私が学生の頃に英字新聞を購読していた2002年前後では、「北朝鮮の拉致問題」に関する記事が何度も一面に出てきました。何度も「拉致問題」に関する記事を読んでいると、当然それに関する表現が身に付いてきます。例えば、以下のような用語が当時の一面の新聞記事には頻繁に登場しました。

 

abduction 「拉致」/ abductees 「拉致被害者」 / abduction victims 「拉致被害者」 
bilateral talks 「2国間会議」 /investigation team 「調査団」 / economic sanction 「経済制裁」
Japanese nationals 「日本国民」
ease the tension between the two countries 「2国間の緊張を緩和する」   
など

 

こうした表現に初めて出会う時は辞書などを引いて調べるのですが、それから毎日登場する表現なので、すぐに覚えてしまい辞書を引く回数は減っていきます。また、テレビのニュースなどでも頻繁に取り上げられているので、意味の「類推」がしやすく、慣れれば思ったより速く読み進められるようになります。このように、すでに親しんでいるジャンルの英文に毎日触れるメリットは、リーディングという作業自体をだいぶ軽減してくれます。

「拉致問題」は一例にすぎませんが、「靖国問題」や「従軍慰安婦問題」「選挙戦」など他の分野の記事でももちろん同じことが言えます。英語学習における時事英語に触れるメリットは「毎日共通したトピックに自然に触れられること」に尽きるといっても過言ではありません。

 

毎日一面記事を読むことのもうひとつのメリットは、世の中の出来事を客観的に描写するための英語表現に慣れ親しむことができるということです。例えば、次のような表現は英字新聞のニュース記事には頻繁に登場します。

 

allegedly 「(伝えられるところでいえば)...ということらしい」/ apparently 「一見したところ」
in an effort to ~[in an bid to ~] 「〜しようとして」/ according to ○○ 「○○によれば」 
○○ said at the news conference in ~ 「と〜の記者会見で○○は述べた」/ confirm 「確認する」 
同格表現(言い換え)/  分詞構文( -ing) / 受動態     
など

 

上の表現は一例ですが、英字新聞で客観的な文章には頻繁に登場する表現です。特定の語彙表現の他に、同格表現や分詞構文、それに受動態といった文法項目も含まれています。TOEICでもたくさんの客観的文章が登場しますから、こうした「新鮮で繰り返し報道される記事」を読むことはTOEIC対策には最適です。

 

 

2.社説を読む


結論からいいますと、一面記事だけで読み続けていればTOEICスコアは飛躍的に上がります。しかし、一面を読んだ後でぜひ読んでもらいたいのが社説です。社説は英語でeditorialsと呼ばれており、記者が特定のニュースに対する考えを簡単にまとめているコラムのようなコーナーです。

一面では最も注目を集めるニュースが客観的な文章として取り上げられていました。しかし、そうした文章には記事を書いたライターの色がなかなか表に出てきません。TOEICでは基本的にビジネスライクで客観的な文章が多いですが、社説を読むことは今世の中で話題になっているニュースが「世間でどのように論じられているか」を学ぶ機会になりますし、一面で取り上げられた最近のニュースに対する意見を論理的に振り返る機会になります。これはTOEIC対策に限ったことではないのですが、「論理的思考を鍛える」という意味で社説を読むことは非常に有用なのです。

2015年6月27日(土)のThe Japan Timesの社説、University Autonomy on Fire(「危機的状況にある大学自治」)という記事(http://u111u.info/m69X)の一部を見てみましょう。

この記事では、文科省の下村大臣が、「全国の国立大学に卒業式や入学式で国旗掲揚と国歌斉唱をするように要請した」ということに対する投書です。また、下村大臣のこうした発言の背景に安倍首相の「国立大学は国民の税金で運営されているのだから、教育基本法に基づいて式典では国旗掲揚と国歌斉唱すべき」という旨の発言に基づいていることも批判しています。以下記事からの引用です。

 

His thinking is the opposite of the widely accepted principle hat universities should be kept at a distance from state power so they can remain independent in conducting education and academic studies. Abe’s viewpoint is a threat to the autonomy of universities and making light of academic freedom guaranteed under Article 23 of the Constitution.

「彼の考えは「大学は教育と学問研究行う上で独立的立場を保つため、国家権力からは一定の距離をとるべきだ」という一般に受け入れられている考えに反するものだ。安倍首相の考えは大学自治に対する脅威であり、憲法23条で保障されている学問の自由を軽視している

 

ハイライトした表現はまさに社説らしい表現で、“○○ is the opposite of ~”(○○は〜と反対だ!)、“○○ is a threat to ~”(○○は〜に対する脅威だ!)、“○○ is making light of ~”(○○は〜を軽視している!)、といった具合に政府のやり方を強く非難しています。こうした表現を使って自分の意見を述べることは、通常一面などのニュース記事ではありません。社説ならではの表現です。

また、続けて次のようにも書かれています。

 

True, Article 2 of the Fundamental Law on Education says that nurturing respect for tradition and culture and love for the nation and one’s native land that cultivated them should be a goal of education. But Article 7 of the same law says that the independence, autonomy and other traits of education and academic research at universities must be respected.

たしかに、教育基本法の第2条では「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛することを教育の目標に掲げるべきだ」と謳ってはいる。しかし、同法の第7条では「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と謳っているのだ。

 

“True, ~. But …”「たしかに〜ではある。しかし…」という表現を使い、政府が行おうとしていることは法律に基づいてはいるものの、同じく法律に反しているという矛盾点を示しています。こうした表現は、自分の意見をできるだけ説得力を持たせるために便利な表現で、True 以下は前置きで、But以下に筆者が本当に述べたいことを書いています。“It is true that ~. But …”という形もあります。さらに、次のように主張を展開しています。

 

Abe and Shimomura should pay heed to this provision in the law.

「安倍首相も下村大臣もこの法律(教育基本法)のこの条項(第7条)に注意を向けるべきだ」

 

ここでも、“should”「〜すべきだ」という助動詞を使って著者の意見を言っています。社説にはこうしたたくさんの主張がこめられています。

 

まとめ


このように、①一面記事のような客観的な文章②社説のようなライターの色がでている文章を読むことで、TOEICスコアを向上させるのに十分な読解力がつきます。

慣れてきたら、広告などにも目が止まるようになります。広告はTOEICのリーディングセクションでも頻出ですから、英字新聞はTOEIC対策に必要なことがたくさんつまっていることがわかります。

私は大学生〜大学院生だったころに英字新聞を購読していましたが、購読していたのはThe Japan Timesでした。当時は一部150円で、毎月4,000円~4,500円くらいで購読していたと思います(現在はInternational New York Timesとセットで月に5,143円)。他にもThe Japan News(旧Daily Yomiuri)は一部150円で販売されており、こちらは毎月3,665円で購読できます。毎月お金を払うことに抵抗がある人は多いかもしれませんが、まずは3ヶ月だけでもいいのでやってみてください。

私は英語教師になってからは職場で読めるので購読はしていませんが、学生時代に英字新聞購読で養ったおかげで、現在自信を持って英語に関する仕事に携わることが教えることができています。

今回の記事では、TOEIC対策という観点で英字新聞購読をおすすめしましたが、ここで一番伝えたかったことは、「継続して行うこと」の重要さです。「毎日30分だけ!」と決めて、一面と社説だけはなんとか読むように努力してみてください。もし30分以内に達成できなくても無理はしないように!日刊紙は毎日読めますから、まずは気楽に毎日30分継続していくことが重要です。


takeondo
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都内の私立学校に勤務する英語教師(英語科教諭)。学生時代に英語音声に魅了され、英語教師の道へ。とりわけ関心があるのは、英語のプロソディ(超分節音的側面)とよばれるリズム、イントネーションなど。英語朗読、英語落語にも興味があります。 Certificate of Proficiency in the Phonetics of English 2nd Class 趣味:囲碁(四段)、ランニング(ハーフ1時間30分/フル3時間40分)

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