久しぶりのブログ投稿になります。
最後の投稿「核を意識した英文朗読を②」の続きを書くつもりでしたが、実生活でいっぱいいっぱいになり、執筆のモチベーションが維持できなくなっていました。読んでいただいていた方で続編を待たれていた方、すみません。続きは必ず書きますので…
さて、今回久しぶりにブログを書こうと思ったきっかけは、このまま書かなくなってしまうのはまずいと思ったというのもあったのですが、同僚の課外授業を見たことがきっかけでした。この同僚ですが、大学の頃からの知り合いで、気づいたら同僚にまでなっていたという長い付き合いでもあります。学生時代から一緒に言語学の本とか読み漁って、居酒屋などで延々と言語について語っていました(今もたまにやりますが…)。お互い大学院にも進んで、彼は海外でMAを取ったので就職した時期は異なりましたが、同じ職場に落ち着きました。仕事が細かく、丁寧な教材作りをします。そんな彼が開講した講座が「言語学概論」でした。
勤務校では12月に高校3年の規定のカリキュラムが終わり、1月、2月にはカリキュラムにとらわれることない内容の課外授業をすることができるというシステムがあります。他の学校と同様、英語教育は加熱していますが、大学へ進学する前に、言語学という学問の紹介を通して、日々汗水流して学んでいる英語同様に、母語である日本語をミクロな視点で振り返らせ、他の言語も概観させ、言語のしくみのおもしろさを伝えたかったようです。ハンドアウトを見ておもしろそうだったので、全4回のうち最後の2回の授業を見学させてもらいました。受講者は選択制で60人くらい。
講義の前半でソシュールとかサピア・ウォーフなんかもいろいろと話していたようですが、アルファベット、キリル文字、ハングル、漢字などの文字の紹介、ロシア語、フランス語、朝鮮語など個別言語の事例をたくさん紹介していました。グループワークにして、いろいろとクイズ形式でやっていたのが結構盛り上がっていました。
彼のハンドアウトに「言語学的な態度とは何か」ということを考えさせるためのクイズがあったので、面白かったので許可をもらってTwitterで共有させてもらいました。
許可をもらって同僚の課外授業のハンドアウトより引用。なかなかいかつい授業をしている。
「以下のうち、言語学的態度を示したものに◯を、そうでないものに×をつけなさい」 pic.twitter.com/jjxoIoKUKN
— takeondo (@takeondo_k) 2018年2月7日
よく言語学の本などで紹介されていることだと思いますが、答えはすべて×なんですよね。答えがすべて○とかすべて×の問題って出題される側としてはあまり好きじゃないのですが、インパクトを与えるためにはこういう質問は効果的なのだと思います。
さて、この授業で生徒が一番おもしろそうにしていたのは何かというと、「逆再生クイズ」をやった時でした。逆再生された音声ってなかなかすぐに想像できないんですよね。特に、日本語を使っている我々は、「か」がひとつの音だと思っていて、[k]と[a]という子音と母音と別れていると普段はあんまり意識していない。この授業のあとで、自分の生徒にも逆再生を紹介したんですが、ここいらへんのことが全然わかっていませんでした。昔、こんなCMがあったのを覚えていますでしょうか。
自分の生徒に「上から読んでもやまもとやま、下から読んでもやまもとやま」というCMがあったということを伝えると、ざわつき始めました。
「やまもとやま」じゃないじゃん。「まやともまや」だし。
といった反応。
逆再生だとこの「まやともまや」にはならず、「あまよとままい」みたいな発音になると告げると、またもやざわざわ。にわかには信じられない様子。以下が私が「あまよとままい」と言った発音。イントネーションもポイント。
これを逆再生してみると…
となります。生徒は「オー」という感じで盛り上がってくれました。いろいろやってみるとおもしろいですが、破裂音が開放した状態を逆に発音するのがかなり難しいです。
こういう具体的な事象見せると、生徒の反応もかなりいいなと改めて感じました。同僚の授業も本当に楽しかった。かなりの生徒が言語学に興味を持ったのではないかと。講義の後に質問に来ていた生徒が何人もいました。大学でたくさん英語を勉強するであろう人たちには、言語のいろいろな側面にもっと触れてもらいたいなぁ。
今回はこの程度で。
Leave a Reply